論文用のFigureをPowerPointから作る(dpiの設定)

論文のFigureは様々なデータ形式で投稿ができる状況ですが,論文誌によってはpptxファイルがアップロードできなかったり,TIFFファイルのdpiを指定する必要があります。何よりも,自分が作成した図のサイズやデータ形式を把握して,投稿規定に合ったデータを用意できることが重要だと思っています。

私は,図はAdobe Illustrator,グラフはGnuplotスクリプトを含むPythonスクリプト(以前は,Origin ProやPrism)を使用して作成しているため,データ形式や解像度は瞬時に変更できるようにしています。

化学工学分野では,比較的,パワポ・エクセルで図を作成し,Wordで原稿を投稿することが多いため,パワポを使った高解像度TIFFデータの作成方法をまとめておきます。PDFファイルで図を投稿したい場合は,パワポからそのままエクスポートすればOKです。

方法

  1. 本方法は,ベクタ形式のPDFファイルで図を作成し,GIMPを使用してdpiを指定したラスタ形式のTIFFファイルを生成するものである。投稿する雑誌がベクタ形式のデータ(PDFやEPS,PowerPoint)を受け入れてくれる場合が,ディスプレイ上で最も図がきれいに表示される。
  2. PowerPointを使ってFigureを作成する。Figureの中に画像を貼り付ける場合はできる限り解像度を高くする。スライドの大きさはデフォルトの16:9でよい。
  3. 「名前をつけて保存」でpdf形式で保存する。「エクスポート」からpdfを吐き出してもよい。Figureを選択して,「図として保存」でもpdf形式で保存できるが,文字化けすることが多い。
  4. GIMP(https://www.gimp.org/)を立ち上げる。
  5. 「ファイル」→「開く/インポート」で先ほど作成したpdfファイルを開く。
  6. 「解像度(R):」を論文誌が指定のdpiに設定する。単位が「ピクセル/in」になっていることを確認する。PowerPointデフォルトのスライドサイズを使っている場合,「幅(ピクセル)(W)」が13.33インチ(33.03 cm)となっているが,後から変更できるのでこのままでよい。dpiによってピクセルは変わるので気にしない。「インポート」を押して画像を開く。
  7. 「ツール」→「変形ツール」→「切り抜き」で切り抜きツールを選択し,Figureに必要な部分を選択し,Enterを押して切り抜く。
  8. 「画像」→「画像の拡大・縮小」で,画像サイズを調整する。単位を「mm」にして,論文誌が指定している幅に収まるように調整する。また,解像度が,指定したdpiになっていることを確認する。右下の「拡大・縮小」を押して操作を完了する。
  9. Command(Cntl)+Sでxcf形式で保存する。
  10. 「ファイル」→「エクスポート」でTIFF形式でエクスポートする。下側の「ファイル形式の選択」の部分で選択可能。オプションは何も選択せず,圧縮なしでOK。
  11. 作成したtiffファイルのdpiを確認する。Macの場合,プレビュー.appで開き,Command+iで確認できる。Windowsの場合,ファイルを右クリックし,プロパティを押して,「詳細」の中で確認できる。