微粒子の気相合成に使用できる火炎 [WIP]

火を使って気相中で粉体を合成する手法を気相燃焼合成法や火炎法,火炎噴霧熱分解法などと呼びます。英語では,Flame synthesis,Flame spray pyrolysis,Flame-assisted spray pyrolysis,Flame aerosol synthesisなど色々な言い方があります(それぞれ微妙に手法が違いますが,それはいつか説明します)[1]。ちなみに気相法ではない燃焼を使った微粒子合成法は燃焼合成(Combustion synthesis)と呼ばれ,高温・高圧を利用したバッチプロセスです(平野は経験がありません)。本エントリーでは,気相燃焼合成法に使用可能な火炎(バーナ)を紹介します。これらは,広島大学熱流体材料工学研究室ですべて使用可能です。合成したい材料に合わせて適切な燃焼方法を選択できることが重要だと考えています。

同軸流拡散火炎

同軸流拡散火炎は,燃料と酸化剤を別々の流路で供給しているため逆火の恐れがなく,幅広い当量比で燃焼できます。また,酸化剤として純酸素を使用することが多いため,空気との燃焼と比較して非常に高温な燃焼ガスを得ることができます。しかし,この燃焼方式では,燃料と酸化剤が拡散し,可燃範囲に達した部分で火炎が形成されるため,火炎の燃焼特性は,燃料と酸化剤の拡散係数などの物質固有の輸送物性に支配されます。したがって,燃焼特性の制御は極めて困難となります。この火炎は,気体原料を供給する手法であるVaper-fed Aerosol Flame Synthesis (VAFS)法や,原料水溶液を噴霧して火炎中に導入するFlame-assisted Spray Pyrolysis (FASP)法のために利用されることが多いです。実用燃焼器では,安全面からこの燃焼方式を採用する場合が多いです。

噴霧火炎

噴霧火炎は,可燃性液体原料の燃焼を行うFlame Spray Pyrolysis(FSP)法で利用されます。原料を有機溶媒に溶解し,二流体ノズルなどを用いて噴霧して,パイロット火炎を用いて連続的に着火することにより噴霧火炎を形成させます。原料は火炎中で気化・反応して粒子として析出します。噴霧火炎は乱流炎であり流れの解析が難しく,未燃炭化水素が合成粒子表面に析出してしまうことがあります。しかし,液体燃料を直接燃焼できるために燃焼エネルギーを効率的に利用でき,また,二流体ノズルは比較的多量の液体を処理できるため,工業的で安全・安価な機能性ナノ材料およびナノデバイスの作製技術として期待されています。さらに,複数の原料を溶媒中に溶解させることで,担体の合成・触媒の担持をワンステップ行うことが可能となります。

平面火炎

平面火炎は,火炎構造の解明や燃焼数値計算の検証を目的として,基礎燃焼学の分野において用いられています。工業的に火炎を利用して微粒子を合成する際は拡散火炎や噴霧火炎が用いられますが,これらは非予混合である,あるいは不均質であることにより反応体濃度に大きな分布がある事に加え,混合・微粒化促進に乱流が利用されるため,流速分布も大きく変動しています。さらに,そのような不均一な流速分布中では火炎が不規則な伸長を受けることなどから火炎構造も局所的に大きく異なり,燃焼により生じる化学種や火炎が気相中の粒子に与える影響などを研究するのに必ずしも都合がよくありません。したがって,火炎伸長を受けない層流一次元火炎である平面火炎を用いることで,燃焼場中での微粒子生成機構の解明が試みられています。

ブンゼン火炎

(作成中)

管状火炎

(作成中)

Reference

[1] W. Y. Teoh, R. Amal and L. Mädler, Flame spray pyrolysis: An enabling technology for nanoparticles design and fabrication, Nanoscale, 2, 1324–1347, 2010.