化学・化学工学分野において論文を執筆する場合,Microsoft Wordを使用することは避けられません。実際,LaTeXでの投稿を禁止している論文誌も存在します。現在のWordで数式を挿入する場合,数式ツールを使用します。しかし,数式ツールはデフォルトで「Cambria Math」というフォントが適用され,本文と同じフォントが使用できません。またこのフォントは,v(ブイ)とν(ニュー)の見分けがつきません。そこで,本エントリーでは,LaTeX風のフリーフォント「Latin Modern Math」を使用して,これらの問題を回避する方法について紹介します。
方法
- 「Latin Modern Math」フォントをダウンロードして,インストールする。こちらのサイトからlatinmodern-math.otfをダウンロードする。ダウンロードフォルダ内にあるファイルをダブルクリックして,「インストール」を選択すると,PCにフォントがインストールされる。
- すでにWordを開いている場合は,一度終了しておく。Wordを起動して,数式オプションを開く。Macの場合,上のメニューバー中の「フォーマット」→「数式オプション」をクリック。Windowsの場合,タブのどこかにある数式ツールのダイアログランチャーをクリックする。「数式用の既定フォント」を「Latin Modern Math」に変更する。「Latin Modern Math」が表示されない場合は,一度Wordを再起動してみる。
- 実際に数式を入力し,フォントが変更されているか確認する。変更されていない場合は,数式を選択し,フォントメニューから「Latin Modern Math」を選択すると変更される。Macの場合,何回か規定のフォントを設定して再起動したら,きちんとデフォルトが変更された。
- これで数式ツール内のフォントが変更された。本文で用いる数式フォントの変更方法やその他のフォントを使用する方法に関しては,日本機械学会が公開している資料で詳しく紹介されているのでそちらを参考にする。
注意点
今回紹介した方法は,あくまでも「Latin Modern Math」がインストールされたPCでのみ,数式のフォントが変更されます。そのため,多くの人に共有するWordファイルで本フォント設定してもあまり意味がありません。PDF化して配布する資料などで適用したらいいとおもいます。また,2022年1月現在,PowerPointでも大きな設定の変更なしで問題なく「Latin Modern Math」が使用できました。ただ,Wordの数式ツールと少し仕様が異なるようで,\(Fm\bar{3}m \)というような3の上にバーを表記する場合,バーの位置が少しずれます。パワポでは,その他の方法(TeX2imgやLaTeXiT)を利用した方がいいかもしれません。これに関しては別エントリーで紹介します。ちなみに本ホームページでは,Wordpressのプラグイン「Mathjax-LaTeX」を使用してLaTeX記法で数式を記述しています。